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われも湖の子

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Entry#14

近江のほっこりスマホ教室

南 保太さん(みなみやすた)

かつての居酒屋を居抜きでスマホ教室にしたのが「ちいラボ」さんだ。菱屋町商店街に面した狭い入り口からザ・昭和な通路を抜けると左手にあるガラス戸。ガラガラと中に入ると、右手のカウンターからひょっこりと迎えてくれるのが2020年2月に起業した南保太さんだ。あまりに居抜きで笑える。かつて器やグラスが入っていた棚には書籍がずらり、大皿が並んでいたカウンターにはプリンタやモニターが鎮座する。最初は少々面食らったが、私のような昭和の人間には落ち着く空間である。

私は専らパソコンの相談に乗ってもらっており、どんな問題に対しても必ず何らかの解決策を提示してくれる南先生は「まちのITサポート」と称するのがピンとくる。カウンターに横並びに座り、緑茶をすすり、キーンコーンカーンコーン♫と鳴る時限のチャイムにほっこり。細長いカウンターにダウンライトの下でも満足度の高い授業は成立している。

「なんでスマホ教室にしたんですか?」ある日聞いてみた。
「パソコンはある程度じっくり勉強できますが、スマホを購入したらすぐに生活の第一線。いま、すぐに、使えるようになりたいものですが、書籍などではちょっとわかりにくいでしょ」
そう、私も使えない機能はそのまま見て見ぬフリをしている。
「皆それぞれのスマホが微妙に違っているので。そこで、個人レッスンの教室をやってみたいと思ったのです」
8年ほどパソコン教室で教えていたご経験は言うに及ばず、生徒の年齢を問わず要点を誤解の余地なく伝える術は、大学の専攻が発達障害学科だった南さんにはお手のものだ。接し方がゆっくりアナログモードなものだから、端末が何であれチョコチョコッと触ってもらったら解決し、なーんだ簡単じゃないかと思わせる。だが、それは南さんのガチガチのデジタルな知識があるからこそすんなり解決したのである。実際、「ちいラボ」のホームページは圧巻だ。南さんがSNSを通じて発信している、その時々で最も WEB 検索されているモヤモヤに対する回答を集約した「読みもの」は膨大で、日々のサイトアクセス数も優に10,000 件を超えるという。この昭和な基地でなぜご自身もほっこりしていられるのか、「ちいラボ」のビジネスモデルの一端が垣間見える。

最後に、シニア世代にどうスマホを活用してほしいかも聞いてみた。
「家族や友だちでもよいですし、あるいはネットショップや同じ趣味の人など、社会のいろんな人とコミュニケーションできるところまで使ってほしいと思います。スマホ画面の向こうには必ず人がいますから。教室では、それをうまくつなぐお手伝いをしたいですね」と志を語ってくれた。確かにいくつになってもデジタル機器を使いこなせれば、人とつながり、生活の質だって維持できる。

京都の東山に奥さんとお子さん3人の5人家族で暮らす南さんだが、働くのは琵琶湖周りのゆったりした空気が性に合うという。このやわらかな心を持った人に今後もずっとこの町で教えてほしい。

ちいラボ:https://chiilabo.com/

(2023年6月13日 記)

横並びで教えてくれる南先生

伺う度に本が増えている

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