Entry#1
伝えたいのはお茶の温かさ
張間幸子さん(はりまゆきこ)
楚々した着物姿と「アーハッハッハッ!」と弾ける笑い声、初めて張間さんのお稽古体験に伺った時そのギャップにいささか驚いた。表千家の茶道教授として瀬田のご自宅の明日実庵や膳所の勤労福祉会館で教室を持つ。「一会和堂セミナーハウス」では令和二年九月から立礼教室を開いている。教室は常に和やかな空気に包まれていて、生徒の皆さんもごく自然体で心地よさそうだ。
もとは犬上郡豊郷町出身の張間さん。茶道との出会いは二十歳のころで、無理やりさせられた花嫁修業の一環だったという。しかし、会社帰りにお稽古に通ううち非日常感に浸れる心地よさに癒される。結婚後、ご主人の転勤で北は旭川、南は四国愛媛の松山まで全国津々浦々に暮らし、子育てのブランクもあったものの四人の先生のもとで茶道を続けた。
「私は人やものを大切にする心を、お茶の温かさを知ってもらえたらと思っています」
「規律は確かに大事ですが、お茶はもっと和やかな場であってもよいのに」と思った時もあったという。張間さんの教室の空気は、四人の先生から学んださまざまな教訓が生かされているのだ。あるときは「和敬清寂」の解説を英単語に置き換えてスラスラと。実は空き時間に楽しんでいるのは英会話だという一面も。
「いつか海外にもお茶の教室を作れたらなぁ~と壮大な夢を持っています」
バイタリティ溢れる、実にしなやかな人だ。
